「韓国 内なる分断」を読んで

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韓国の政治がなぜ現在混迷を極めているのか、なぜここまで反日になっているのか、一体文政権はどこに向かっているのかが読んでてきちんと納得いく形で冷静に論じられていた良い一冊だと思ったのでレビュー。
いわゆるなんの知識もない妄想作家がチラシの裏に書き散らすようなゴミ書籍では全くない良書。

韓国の政治制度でやっかいなのは大統領が非常に強い権限を持っており、事業への予算配分や政治の重要職の人事権を全面的に保持している。大統領が保守派・進歩派が入れ替わるとあらゆる機関の首がすげかわるという現象が起きる。しかもその際には対立している派閥をこれでもかと叩くために在職中のスキャンダルを暴きだして相手を投獄させるといった手段にまで出る。まるでこれが部活の先輩から後輩にしごきの洗礼を浴びせ、その後後輩が先輩になったら同様に新しく入ってきた後輩に同じ洗礼を浴びせるように負のループが発生しており、いつまでたってもこの報復劇がなくならない。
しかもなまじ大統領に大きな権限があることから、大統領が汚職に絡まなくても脇の甘い親族に悪いやからが近づき収賄の誘惑をかけき、それにまんまと嵌る。
だから選挙で保守派・進歩派が入れ替わった時に、この親族の収賄が暴かれ、元大統領がそのスキャンダルに巻き込まれて逮捕されるという構図が韓国の政治の実態だ。
しかも国営だけでなく民間の重要職も総じて政治派閥が入れ替わると首がすげ変わるようで、基本的に韓国のほとんどの企業は創業者系企業(サムスンやヒュンダイなど)でなければ全員政治の息がかかっているようだ。

また保守派と進歩派がかようにも断裂している原因として安全保障上の問題である北朝鮮に対するスタンスにある。
北朝鮮に対しては、保守派は核を保有する危険な独裁国という認識で全面的に米国とタッグを組んで対処しようという態度を取っている一方で、進歩派は同じ朝鮮民族でありいかに融合・統合していくかという太陽政策を掲げている。
この安全保障の問題が保守派と進歩派の分析をより大きなものにしており、決して交わることのない状態にさせている。

少し話を戻して朴政権から文政権への移行において起こったことを確認したいと思う。
大統領の大スキャンダルの失態によってここしばらく虐げられてきた進歩派は逆転の芽が出てきた。
そこで現在の文大統領が派手な選挙パフォーマンスを繰り返し、朴政権に怒りを抱いている人達に朴政権の政策を全部ひっくり返すといった言動を用いて支持率を獲得してきた。
これにマスコミも乗っかってきたということもあり、進歩派が一気に息を吹き返し政権を取ることに成功した。

しかし、こうした朴政権全否定パフォーマンスによって支持率を獲得してきたということもあり、昨今の文政権の日本外交の無茶さは、決して日本憎しでやっているわけではなく、保守派の政策の否定のせいでこうなっているという話だ。
慰安婦問題も当初基金を朴政権時代につくったものを解散させているのも保守派政策の否定。
GSOMNIA破棄も朴政権自体に出来た合意であり、国益とか関係なく破棄というのもこうした解説を見れば納得だ。
しかし、逆にこうした過激な保守派の政策否定は韓国国内にとってはアピールポイントになるが、そのせいで文政権の外交政策がちぐはぐになっていてどの国からも不審な目で見られているということから、現在の韓国の外交政策は漂流しているといっても過言ではない。

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