フェデックス(Fedex)の企業分析・株価分析

フェデックスはいわゆる米国陸運大手としては有名で世界各国にも拠点を持っている有名企業である。
フェデックスの事業ポートフォリオを見るとフェデックスグラウンド・フェデックスエクスプレス・フェデックスフレイトという三種類が見られる。

セグメント別状況

このうちフェデックスグラウンドはほとんど米国国内のいわゆる一般的な宅配事業・貨物運送事業にカテゴライズされる。
一方、フェデックスエクスプレス・フェデックスフレイトはフェデックス社が貨物航空機を保有してグローバルに顧客荷物を運ぶ貨物運送輸出入ビジネスがメインという認識で良いだろう。

フェデックスグラウンドは米国内宅配シェアが3割あり、最近はこの数値を維持しており、米国内の荷動きの増加に伴って運送金額も増加している。

フェデックスグラウンドの米国内シェア

しかしフェデックスグラウンドの最も大きな弱点は一番堅調な成長が見られる米国個人消費がメインのアマゾンEコマース宅配シェアがほとんどないことである。

アマゾン荷物のラストマイル宅配シェア

元々ゼロに近かったのがアマゾンからの契約も打ち切られてしまったことから、ほとんどEコマースの成長部分を取り込めていない。
フェデックスアマゾンとの陸上配送契約打ち切り-航空契約に続き

なのでフェデックスはEコマースの荷動き取り込み量がUPSより低いということが想像される。
(スライドを見る限りUPSはしっかりとEコマース成長による内需を取り込めている)。

次にフェデックスエクスプレス・フレイト事業を見て行こう。
ここは前述した通り主に産業向け荷動きがメインになるだろう。
では産業向け荷動きの中身はどういった構成なのか?
産業向け荷動きといった時に真っ先に思いつくのは半導体だろう。
昔から社会の教科書に載っているが、半導体は小さく軽く、ビジネスサイクルが非常に速いので通常飛行機運搬する。
しかし足元で韓国の輸出動向のひどさを見ればわかるが、半導体の荷動きが一番米中貿易戦争の煽りを受けており、米株高配当銘柄村ブロガーでフェデックス保有している人が想像するよりは業績のボラティリティは高まっていると思われる。
また米国の輸出入動向・中国の輸出入動向に左右されるファクターを考えると業績が落ち込むのは仕方のない話だと思う。
またフェデックスは米国国内だけでなく欧州にも手を拡大するために当時赤字で苦境に陥っていたオランダのTNTエクスプレスを2016年に買収したが、これが運悪く米中貿易戦争の直前のすっ高値買収となってしまい、これが足を損益面でも財務面でも足を引っ張っている。
その証拠にこのセグメントの営業利益率は下落傾向となっている。

フェデックス、オランダ物流大手を買収 5700億円

さてここからは具体的にPL・BS・CFを見ながら以上の要素を考慮しながら見ていきたい。

損益計算書

損益計算書を見ていくと、米国内宅配のフェデックスグラウンドの利益成長を輸出入や産業向け運搬が多いフェデックスエクスプレス・フレイトが大きく足を引っ張っているせいで利益が伸びていない。(17行目)
米国内の人件費高騰も業態的に人件費がかかるセクターなのでこちらも利益にとってはマイナスだ。

バランスシート

また財務を見ると特につまづいたのが2016年に行ったオランダTNTの買収で、米中貿易戦争の手前で新しい財務のお荷物を抱えてしまったというところだろう。(90行目)
本来はフェデックスの既存の輸送事業とシナジー効果を高めたいと思って買収したが、米中貿易戦争で荷物が一切増えないという事態に陥り、元が赤字の企業だったが一向にシナジー効果を出せないまま買収以降も状況改善ができていない。
そうなると買収前に鉛筆舐めながら決めた買収価格の正当性ってなんでしたっけという話になり、減損リスクが浮かび上がりつつある。
また航空貨物が不振なことも財務の資産に含まれる航空機の減損リスクを増加させており、この2つの減損リスクが自己資本に不安感をもたらしており、配当や自己株買い減資の減少につながるのではないかという市場の疑心暗鬼が生じている。(81行目)

キャッシュフロー表

キャッシュフローを見ると意外と足元のフリーキャッシュフローはあまり余裕がない。(59行目)
営業CFを見ると利益+減価償却を足した後に、大きな支出項目の中に従業員向け年金・保険負担があり、これが結構重たいように見える。(49行目)
また投資CFも結構大きく、これは車両購入だけでなく、航空機購入という重たい投資負担をしているからだ。(54行目)
航空機投資というのは概して重たいというのが業界の常識であり、航空機投資が一巡しないと、なかなか余裕のある株主還元が難しそうだ。
現状配当および株主還元原資は借入を増やして行っており、これは持続可能かどうか言われると少しでも利益が減少すると難しいように思われる。
これを見ると有料米国株銘柄特有の巨額の営業CF、僅少な投資CFの差から生まれる株主還元の増加というのが少し期待しづらい。

保有している航空機一覧

株価バリュエーション的には足元10倍で安く見えるが、これは今米中貿易戦争で直撃を受けている産業向け輸送が多いことと買収したTNT・航空機にいつ減損がかかるかとはかりかねている投資家が多いことを意味している。
減損を出し切って減配や株主還元をどれだけ引き下げるかということがはっきりしてくれば最悪期がどの程度かわかってくるので投資家としてもどの辺が株価的に適正価格なのかはかりやすくなるので、悪材料出尽くしのための悪いニュース待ちといったところだろうか。
少なくともTNTのリストラ発表してのれんが財務から消えれば、そもそも企業が根本的に駄目になるほどボラティリティが大きな業種でもないし、フェデックスという輸送ブランド自体は高いはずなので割安ということで買い向かうのはありではなかろうか?
とにかくTNT・航空機の減損処理というきっかけが見えてこないとなかなか長期投資だといって目をつぶって飛び込むわけにはいかないと思う。

株価チャート