ADP(オートマチックデータプロセシング)の企業分析・株価分析

ADPはナスダック100指数の上位組み入れにいる会社の中ではかなり老舗の会社で、創業は1949年で上場は1961年に上場と相当の歴史の長さを感じる。
会社自体は聞いたことないという人が多いと思うが、米国の雇用統計でADP雇用統計と聞けば知っている人が多いかもしれない。
ADPは米国最大の人事業務アウトソーシング会社で、米国全土+αで人事業務アウトソーシングを受託している。
特に米国では本業とは関係ない間接コストをアウトソーシングするという気概が非常に強い国であるため、多くの企業がADPに人事業務アウトソーシングをしている。

具体的に人事業務アウトソーシングの中身はというと、給与計算・勤務時間管理を中心に人事業務の中心を司っている。

ADPの競合一覧

上記の表を見ていただくとわかるが、この分野は非常に競合が多い。
通常は競合が多いビジネスというのは利益率の低下に苦しんだりするのだが、ADPについては後述するが潤沢な営業利益率を誇る。
これだけ競合がたくさんいるのになぜ利益率は高いのか?

ここで考えたいのはこうした人事システムというのは入札を勝ち取るまでの競争は厳しいが、一度入札を勝ち取ってしまえば人事システムを変えるのに多大なコストがかかるということもあり、顧客が他社へ移動していくリスクというのは非常に低いということだ。
また顧客側も一度人事システムを導入すると変更するには多額のコストがかかることを知っているので、単に安いだけではなく、使いやすい・グローバルに対応している・便利さなど多角的な評価をして決めるので、単なる値引き合戦にはなりずらい。
またADPはこの人事アウトソーシングでは最もブランド力があるということも重要な点だ。
例えばあなたが人事部だった時に変なマイナーな会社を選んでシステム導入に失敗した時、上司から叱責され、降格されたり、最悪クビになる可能性さえある。
しかしADPのシステムを導入して失敗したとしても、いやADPで失敗するんだったらしょうがないよねという風になることも想像しやすいだろう。
そして一度獲得してしまえば、常にチャリンチャリンと定期的な収入が入ってくるので、一度入札を勝ち取れば非常に安定した収益を構築することができるということだ。
なのでADPの決算を見るとき注目すべきなのはどれだけ新規顧客の積み上げができているかが一にも二にも重要な要素になる。新規顧客の積み上げに比べれば、既存顧客の解約率はそこまで変動しないと思われるので最悪見る必要性はないかもしれない。

損益計算書

売上高は年間一桁後半レベルぐらいの伸びをしている(年間6-8%ぐらい)(5行目)
会社のHPにはグローバルに展開していると記載があるが、実際は売上の85%は米国から発生しているものなので、ほぼ米国の動向次第で決まると考えてよいと思われる。
基本的には米国の労働者人口が増えていく過程の中で自然と伸びていくと考えてよいと思うが、新規獲得のシェア動向だけは注意していきたい。

財務諸表

業務において給与アウトソーシングがあるため、ADPは一時的に顧客から旧炉支払いのための資金を預かっている。
これはいずれ顧客の従業員に払われる資金なので、ADPの財務からは控除してレバレッジや資産効率を計算しなければいけない。
上記表ではいくつかの指標については顧客からの預かり金は抜いて計算してある。
顧客資産運用分資金を抜くと自己資本は50%以上あり、加えて実質無借金、ROEも20%となっており、財務は非常に強固に思える。
S&Pの格付けもAAであり、自分の手元計算と合わせても非常に鉄壁財務であり、枕を高くして寝れそうな安心感がある。

キャッシュフロー

キャッシュフロー表を見る際も、顧客資産運用資金の出入は除いて考えるべきだろう。(54行目)
実質フリーCFは足元2000ぐらいで、これが自己株買いと配当に回っている(59、61行目)。
なお投資については年間400-600に買収が200ぐらいということで、投資CFが大幅に営業CFを圧迫するということは基本的にはないように思える。(48-50行目)
株主還元という観点で見ると配当利回り2%と自社株買いが1.4%ほどあるため、キャピタルゲインを除いた株主還元率は3.4%と米国企業の中では還元率は少し平均より低いが、EPSの成長が期待できる分だけ低く見えるといったところだろうか。

以上を踏まえながら株式バリュエーションを見てみようと思う。

PER

足元のPERは28倍ぐらいというのを見ると、一度獲得した顧客の離脱リスクの低さを考えればまあそんなもんじゃないのという妥当な感じがする。
売上を毎年6-8%、税引き前利益を10%ずつ増やしながら来ているので、3.4%+10%で年間13-14%ぐらいのリターンが狙える銘柄という認識であればPER28倍という評価は納得のいく数値だと思う。
割安でもないけど、割高でもない、そんなフェアバリューぐらいの評価がされている銘柄という認識ぐらいで良いのではなかろうか。
押し目を丁寧に拾えば大損失を被るという可能性は少なく思える安定成長銘柄ではなかろうか。
ただそ直近2年は少しできすぎている感じがあるので、2017-2018年のような大きなリターンがいきなり出るとは思わない方がよいだろう。

株価チャート