アップルの企業分析・株価分析

誰もが知っている銘柄だが、自分でもきちんと銘柄のこと再確認しておかなければと思い、記載してみました。
損益計算書とプロダクト別の売り上げ動向を見てみよう。

損益計算書
プロダクト別売上高

売上の半分をiPhoneが占めているということもあり、iPhoneの売上高というのはアップルにとって一番重要な収入源であることは未だ変化はない。
マックの売上、サービスの売上というのは基本的にはiPhoneと連結していると思われる。
マックはiPhoneのためのアプリサービスを開発するため、サービスはiPhoneを通じて提供するサービスと直結している。
ウェアラブルについては医療用用途が大きいということもあり、少し独立色があるかもしれないが、それでもiPhoneとサービスを共有しているものがいくつもあるわけだからiPhoneの売上高がやはり全セグメントに影響を及ぼしていることは間違いない。
ただiPhoneの売上高はその年に販売された台数、その他セグメントは世界でどれだけの人がiPhoneを保有してくれているかというものに相関性があると思われるので、少し売り上げや収益の立ち方は変わってくるだろう。
なお、iPadは既に売上高が減少しており、次なる柱にはならなそうな雰囲気だ。

iPhoneの一番の強みはやはり処理速度とデベロッパーフレンドリーな設計になっていることにあるだろう。アンドロイドは設計がぐちゃぐちゃなため、iOSと比べると処理速度がやはり遅いという問題がある。
そのため昨今のひと昔前なら考えられないようなスマホゲームが登場しているが、それをストレスなくプレイしようと思うのであればアンドロイドではなくiPhone一択になるであろう。
iPhoneの高速度処理はアップル自体が設計してiPhoneに搭載している半導体にもその秘訣があり、これはアンドロイド勢は簡単に真似のできることではない。
加えてアプリのデベロッパー側もアンドロイドよりiOSでのサービス提供の方を好んでいる。理由としてはiOSはどのバージョンでもiOS向けのアプリ提供においては表示がおかしくなるとかバグが起こるとかいうことがない。
一方でアンドロイドだとバージョンが違うだけで起動できなくなるとか表示が起きなくなるとかが起きるので、アンドロイドの方がデベロッパー側の負担が大きい。

ただ最新機種が10万とか20万とか、いやポケットに入れて持ち運ぶもののレベルとしてはさすがに常軌を逸しているんではないかと思われるレベルに価格が到達してしまったことを考えるとマーケット全体に占めるシェアは10%ぐらいですねというところに落ち着いてしまう。
スマホ全体出荷数の伸びが止まっている中、やっぱりiPhoneだけ爆発的に伸びる!・・・なんてことはなく、スマホ市場の成長停止に伴い、iPhoneも売上高増加というのが見えにくい状況になっている。

2019年の世界スマホ出荷台数は対前年比2.6%の伸び〜IDC予測

スマホ市場自体が成熟期に入り、iPhone自体の販売が物理的な制約にぶつかっていることは間違いない。
地域別の売上と利益を見ると、米国はまだ伸びているが、他の地域は横ばいぐらいにとどまっている。
中国は米中貿易摩擦の余波を食らっているという特殊事情があるため、市場はここが回復して米国と同様ぐらいの伸びに戻ってくれるかどうかを期待している。

地域別売上高と営業利益

なお利益率についてはどの地域もおおよそ3割ちょっとぐらいである。
これはアップルの製品のほとんどがアジアで製造された部品が集積し、中国で組み立てられており、出荷元が集中しているからだ。
日本が若干利益率が高いのはスマホゲームの課金が他地域よりも高いせいがあるのかもしれない。
しかし、米国の利益についてはもし現在トランプが検討している対中関税をかけてしまうと米国向け製品の利潤を下げるか、値上げして販売台数減を受け入れるかの二択になってしまうため、ここの動向には皆神経質になっている。

財務諸表を見ると、知っている人は知っていると思うが、在庫や固定資産などというのは資産全体でいうとごくわずかではない。(74、80行目)
これは結局大半の在庫・固定資産をサプライヤーに負担させているということだ。
これによりアップルは運転資金や固定資産の借り入れをしなくて従来の製造業よりぐっと減らすことができるので、利払い負担を大幅に減らすことができる。
ただ、これがサプライヤーから言わせるとアップル地獄と呼ばれるもので、在庫リスクをサプライヤーが抱えた挙句、売り上げ不振になるとお前が勝手に在庫仕入れたんだからお前の負担なということで負担させる鬼畜発注元としてアップルは名を馳せている。
(それでも一社としての発注量の桁が違うので、みんな我慢して発注を受けてしまうのだが)

あと少し気になるのはわずかずつであるが粗利益率や営業利益率が下がっていることにあり、やはりiPhone売るのが一番利益率高いビジネスなんだなというのが伺える。(115、116行目)
iPhone比率が下がると、どうしてもこれら指標が一定程度悪くなるのは否定できないと思う。

株主還元率はへたな高配当株よりもずっと大きいことをキャッシュフロー表から説明したい。
足元で営業CFは770億ドル稼げている一方で、投資CFは固定資産投資でせいぜい100億ドル。(42、47行目)
つまり670億ドルは真水でお金が余っていることを意味している。
そして余った金はすべて配当金と自社株買いに充てられる。
その自社株買いも直近年は配当金の5倍にも及んでいる。(57、58行目)
現在の配当利回りは1.5%なので、自社株買いが実質7.5%の利回りに相当する還元効果がある。
そのため実質的な株主還元率は9%におよぶレベルになっており、米国株の中でも圧倒的な自社株買いパワーを見せつけている。
なので、EPSが変わらなくても株主は年間9%のリターンを得られるということもあり、iPhoneの売上が強烈にマイナスにならない限りはこの9%のリターンを得続けることができると鉛筆を舐めることができる。

アップルのPER

iPhone自体のブランド力を信じるなら、これは高還元株としてはフィリップモリスやコカコーラ株よりずっと期待リターンが高いことを意味している。
バリュエーションはPER16.7倍ということもあり、高い株主還元率を考慮するとフィリップモリス15倍と比較したらアップル株を買う方がバリューがあると個人的には思う。
ただしいーや、iPhoneはあくまで電化製品の一つなんだから遅かれ早かれ廃れると思う方にとってはPER17倍は高いという評価になるだろう。

株価チャート